10月10日(トスカの初Tutti)
       

(第1幕の冒頭、3小節の短い序奏のあと、アンジェロッティのライトモチーフ)
アンジェロッティは、当時牢獄として使われていたサンタンジェロ城から脱獄してきました。普通に走れば10分ほどの距離でしょうけど、人に見つかってはいけないので、周りを気にしながら全速力で走っては隠れ、そしてようやく目指す教会が見えたのです。そのときにはきっと右足は捻挫していたに違いありません。体力も限界だったでしょう。ですから、このテーマも最初は必死で走っているのですが最後には足がもつれ、倒れ込むように終わるのです。山形アクセント、普通のアクセント、テヌート、スタッカートなどを本番までにちゃんと弾き分けられるようにして下さい。

(トスカが登場、愛の二重唱)
これがヴェルディの<椿姫>であれば「愛してるよ〜」と感情移入した演奏は可能なのですが、ここでは感情は込めずに、ただ美しく聞かせようと演奏して下さい。なぜなら、カヴァラドッシはトスカには秘密にアンジェロッティをかくまっていて、彼を逃がしたいと思っているので、トスカにははやく帰ってほしいのです。ですから「愛してるよ〜」と口では言っていても腹の中では「早く帰ってくれ〜」と思っているのです。<トスカ>の登場人物は皆「裏」あるいは二面性があると思って下さい。