プッチーニ  歌劇「トスカ」
−その他の登場人物−




<堂守>
   信仰心厚く、共和主義を憎む道化役

サン・タンドレア・デッラ・ヴァッレ教会の堂守(教会の香部屋係又は聖具保管係、つまりは使用人の一人)であり、熱心なカトリック信者である。
よって、カトリック教会の聖地であるヴァチカンを侵したナポレオンと共和主義者には激しい嫌悪感を持っている

ストーリー上では(第1幕でしか出てこないが)、聖人画らしからぬ絵を描いたカヴァラドッシに対して、ぶつぶつと小声で呪いの言葉を漏らしたり、スカルピア男爵にひたすら恐れをなして捜査に協力するなど、典型的な「小市民」である。

役どころとしては、日本の芝居でいう三枚目役であり、このオペラの壮絶な悲劇の中にも「道化(ピエロ)」的要素を与えている。

これは、喜劇の「味」を少しだけ入れて、悲劇の「味」をより強めるという、一種の「隠し味」となっている。







<スポレッタ>
   スカルピア男爵の「犬」である密偵

スカルピア男爵率いる秘密警察の密偵の一人であり、スカルピア男爵の忠実な部下(スカルピア男爵曰く「犬」)たる刑事である。

イタリア語の彼の役名で書かれている「agente di polizia」は普通の警官を指していることから、シャルローネのような公安警察など特殊任務につく憲兵とは違い、格下の「パシリ」的役割であったかもしれない。
(確かにトスカを追っかけたりサン・タンジェロ城へ同行するなどスカルピアに命じられて出て行くことが多い。)

重要でない役柄上あまり性格が現れにくいが、第2幕のスカルピア男爵へのアンジェロッティ捜査失敗の報告場面で、神や聖人に自らの保身を願うなど、やはりスカルピア男爵の権力と容赦のない性格に対して恐怖感を抱いている面が垣間見えている。













<シャルローネ>
   スカルピア男爵の「犬」である憲兵

スポレッタと同じく、スカルピア男爵率いる秘密警察の密偵の一人であり、憲兵である。

イタリア語の彼の役名で書かれている「gendame」は(19世紀後半のイタリア統一以前、つまりオペラ「トスカ」の時代の)憲兵を指す他、武装警官護衛兵を意味しているので、恐らくスカルピア男爵のボディガード役であったかもしれない。
(たしかに第2幕の前半部分など、スカルピアの傍にいて行動することが多い。)

憲兵ついでに余談ではあるが、イタリアの現在の憲兵は「carabiniere(カラビニエーレ)」と呼ばれており、日本の鉄道警察隊的な役割や公安警察など特殊任務についている。

役柄としては、ほとんどスカルピア男爵のメッセンジャー的な役で、スポレッタ以上に性格がほとんど見えてこない端役である。
(ただスポレッタ以上にはしっかりした性格ではあるようだが…)







<看守>
   カヴァラドッシに僅かな情をかけた男

サン・タンジェロ城の看守の一人で、第3幕で登場するカヴァラドッシの牢獄の番人である。

囚人であるカヴァラドッシに対して、指輪と交換で、彼にトスカ宛ての手紙を書かせることを黙認した。






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(主な登場人物へ) 本 文:岩田 倫和(チェロ)
カット:上柿 泰平(パーカッション)