(C) 関西シティフィルハーモニー交響楽団
(アマチュアオーケストラ,大阪市)

オペラ「トスカ」について
−第1回:「トスカ」とは?−


  <作曲者> 
ジャコモ・プッチーニ
(伊:1858-1924)

「トスカ」は、「蝶々夫人」等で知られるイタリア人ジャコモ・プッチーニにより作曲された代表的なイタリア・オペラのひとつで、その題名は、このオペラのヒロインである「(フローリア・)トスカ」の名前がそのまま付けられております。

「トスカ」の物語の内容は、4人の主要キャスト(登場人物)が全て無残な最期(毒物自殺、刺殺、銃殺、飛降り自殺)を遂げるという、凄惨なまでの悲劇で、逃亡、奸計、拷問、脅迫、強姦未遂、殺人、自殺などかなり血生臭い要素で成り立っております。
これらの内容から、「トスカ」は、当時流行っていた「ヴェリズモ(真実主義:どんなに残酷な現実でもありのままに表現する)オペラ」の流派に属すると考えられております。

「ヴェリズモオペラ」とは、平たく言うと「サスペンスドラマのオペラ版」でしょう。
その代表格として、同時代のイタリア人作曲家ピエトロ・マスカーニが作曲した「カヴァレリア・ルスティカーナや、レオンカヴァッロが作曲した「道化師」があります。

また、その音楽も、かなり強烈なテンションを伴なったものであり、特に拷問や殺人などの衝撃的なシーンでは、これでもかと言うほどにテンポや音量、音色が変化して(暴力的な台詞とも相俟って)息詰る展開を作っています。

しかし、このような極めて衝撃的な内容のオペラにも関わらず、作曲者プッチーニはお得意の(「歌に生き、恋に生き」「星は輝きぬ」などに見られる)旋律美あふれる歌やメロディーをあらゆる場所にちりばめて、血生臭いドラマでありながらロマンチックな要素も多いという独特の作風を示しております。


<「トスカ」の基本データ>

以下に「トスカ」に関する基本的なデータを載せます。
これらの内容については、今回の別項目又は次回以降に出来るだけ詳しく掘り下げて解説したいと思います。

形   式 3幕からなるメロドランマ
(メロドランマ:イタリア語でオペラと同意の「音楽を伴なった劇」のこと。世間で言う「メロドラマ」とは違う)
作曲期間 1896〜1899年
初   演 1900年1月14日、ローマ・コスタンツィ劇場にて
演奏時間 合計で約1時間50分(休憩時間含めず)
(第1幕:約45分,第2幕:約40分,第3幕:約25分)
原   作 ヴィクトリア・サルドゥ(仏:1831〜1908)作の5幕の悲劇「ラ・トスカ」
(台本は、これを3幕のオペラ用に圧縮・改編している)
台本の作者 ルイージ・イッリカ(伊:1857〜1919)
ジュゼッペ・ジャコーザ(伊:1847〜1906)
ただし全体的な構成には、原作者や作曲者も多少関与している。
舞台設定 1800年6月17日 〜18日のローマ市内
(以下の舞台となる場所は全てローマ市内に実在する施設)
第1幕:サン・タンドレア・デッラ・ヴァッレ教会
第2幕:ファルネーゼ宮殿
第3幕:サン・タンジェロ城
主な登場人物 (主要登場人物)
フローリア・トスカ
(ソプラノ):ローマの名歌手
マリオ・カヴァラドッシ(テノール):画家
スカルピア男爵(バリトン):警視総監(秘密警察のトップ)
チェーザレ・アンジェロッティ(バス):脱獄政治犯(元ローマ共和国領事)
(その他)
堂守
(バリトン):サン・タンドレア・デッラ・ヴァッレ教会の番人
スポレッタ(テノール):秘密警察の密偵(刑事)
シャルローネ(バス):秘密警察の密偵(憲兵)
看守(バス):サン・タンジェロ城の看守
羊飼(ボーイソプラノ):第3幕で暗示的な牧歌を歌う舞台裏の役
オーケストラの
楽器編成
木管楽器群:ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、コントラファゴット
金管楽器群:トランペット、ホルン、トロンボーン、バストロンボーン
弦楽器群:ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
打楽器群:ティンパニ、チェレスタ、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、鉄琴、銅鑼、教会用の鐘
その他:ハープ
(別編成で以下の楽器等がある)
フルート、ヴィオラ、ハープ、ホルン、トロンボーン、教会用の鐘(多数配置)、パイプオルガン、小太鼓、鉄砲、大砲


参考文献:



名作オペラブックス4,プッチーニ「トスカ」(音楽之友社刊)
作曲家別名曲解説ライブラリー,ヴェルディ/プッチーニ(音楽之友社刊)


文:
岩田 倫和(チェロ)