北摂の不審人物


トスカを演奏するためには巨大な鐘が必要とわかった打楽器奏者は10月のはじめに川西市にあるサンシャインで木槌を購入した。その木槌で店にある金属のパイプを片っ端から叩いてチューナーで音程をメモしていった。・・・・だめだあ。話にならなかった。どのパイプも火の見やぐらのような音しかしない!そこで店を出た打楽器奏者は近くにある中華料理店の裏に侵入してプロパンガスのボンベを叩いてみた。カーーーーン!(ここから先はご想像にお任せします。)・・・・。打楽器奏者は焦りだした。この日から彼はいつどこへでも木槌を持ち歩く男となったのである。道端で金属を見るとまず叩いてみる。金属製のごみ箱駐車場の柵立体駐車場のシリンダー(これはなかなかだった。)、プラットホームの柱郵便ポスト・・・どうやら我々のめざす音は単に金属パイプの材質や太さ、長さ、厚さだけではどうしようもないようである。あちこちの金物屋へ行ってみた。「何に使いはんの?」打楽器奏者「あっ、あのー・・・オペラで・・・鐘の代わりに・・・」お店の人「?・・・??」

 解決する鍵は一枚のベニヤ板にあった。木ではあるが叩くポイントによっては良く響き、しかも低い音がする。「これはもしかしたら金属の板ならもっと良いのではないか?」
打楽器奏者は某大学の工学部の廃材置き場へ出かけていった。思った通りたくさんの金属屑が棄ててある。「しめしめ、これなら使えそうなものがきっとあるぞ」打楽器奏者は愛用のゴムシート付き木槌を取り出し一つ一つ試していった。・・・「うーーーん・・・。第一幕には使えそうだがせいぜい目的とする音のイチオクターブ上の「ミ」が関の山やなあ。」と独り言をいいながら打楽器奏者は土曜日のシティフィルの練習に出かけた。第二幕、ラスト、スカルピアが殺され、トスカがローソクを一本立てる度にタムタム(銅鑼)が静かに「グヲーーーーン・・・・・」と音を鳴らす。「これ、いったい何の音やろか?」測定してみて愕然とした。低い「ド」シャープである。まだまだ低い音が要求される上に、これまで探し回って一番低い音がこんな身近にしかも我が団にあったとは・・。」

だが、ベニヤ板・・銅鑼・・このラインでだんだんとイメージが沸いてきた。これは間違いなく大きな鉄板でいける!・・つづく。


 

インフォメーション トップページに戻ります。 さあ! 超低音の鐘(?)の実体とは!? と、思わせぶりに次章へ突入!