(C) 関西シティフィルハーモニー交響楽団
(アマチュアオーケストラ,大阪市)

ベートーヴェン 交響曲第9番
− 前半部歌詞の私的解釈 −


下のリンクをクリックすると、別ウィンドウにて第4楽章を聴くことが出来ます。

第4楽章を聴く!

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(はじめに)

ここではベートーヴェン 交響曲第9番(以下 第九と略)の第4楽章の進行(管弦楽のみで演奏される約7〜8分程度の導入部は除く)に合わせて、歌詞(ドイツ語)の日本語(おおまかな)対訳とその私的な解釈について記載しております。

また、閲覧されているパソコンが、MP3方式の音楽データ再生に対応していれば(現在販売されているパソコンの大部分は既に対応しています)、解説部分の音楽(上記の4楽章MIDI音楽の該当部分を私の手持ち音源(Roland SC-88STPro)で再生、MP3方式にサンプリング変換したデータ)を聴くことが出来ます。
ただし、データ量の最小化を重視したため、音質はモノラルの最低レベルにしてあります。お聴き苦しい部分もあるかと思いますが、何卒ご了承頂きますようお願い致します。

対訳については、原語の表現(エリジウム、ケルブ等)を重視しつつ、文法的に繋がりにくいところを執筆者の適度な意訳により、歌詞の意図を大きくねじ曲げない程度に読みやすくしてみたつもりですので、文法として厳密に忠実ではなく、また一般的によく通じている翻訳(これもある種かなり意訳していますが・・・)とは異なっている点があることをご了承下さい。(公的又は権威的な裏付けを一切得ていないことも付け加えます。)
解釈についても、あくまで執筆者が各種文献等を参考にした上での私的な解釈であり、何らかの権威的裏付けを得たわけでもなく、大人数での検討の上で決定した客観的な解釈でもございませんので、予めご了承下さい。

文: 岩田倫和 (チェロ)


<序奏>

全管弦楽でプレスト(急速に)で演奏される、ある種カオスとも言えるような旋律(?)であり、やかましい以外なんの感情も湧かないような序奏です。
このあと、それを打ち破るかの如く、バリトンによる詠唱風の独唱レチタティーヴォ:話し言葉に近く、あまりメロディックでない歌)により、以下の歌詞が出てきます。
ちなみにこの部分の歌詞は、シラーの「歓喜に寄す」にはなく、この曲のためにベートーヴェンが自ら作詞したものです。

序奏部分の音楽(MP3方式)

バリトン独唱によるレチタティーヴォ(MP3方式)

(以下、左側にドイツ語歌詞右側に日本語対訳を記載します。また、対訳中のリンクからは、その言葉に対する解説解釈についてのページに別途飛ぶことが出来ます。)

(Bariton solo)
O Freunde, nicht diese Töne !
sondern laßt uns angenehmere anstimmen, und freudenvollere.
(バリトン独唱(レチタティーヴォ)
おお、友よ! このような調べではない!
そんな調べより、もっと心地よく歌い始めよう、喜びに満ちて。


<1.主題の提示>

ここからシラー作の頌歌「歓喜に寄す」が歌われます。
この部分は、全8連から成る原詩の中の第1連の前半部分です。

始めを歌うのは同じくバリトン独唱ですが、その後呼応するようにアルト、テノール、バスの合唱が入り、後半部分が繰り返されます。

このとき、オーケストラの楽器群(以下 管弦楽と略)は、独唱や合唱とほぼ同じように、控えめに有名な「歓喜の主題」を演奏しています。

主題提示部の音楽(MP3方式)

(Bariton solo)
Freude, schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium,
Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum!
*Deine Zauber binden wieder, was die Mode streng geteilt;
alle Menshen werden Brüder, wo dein sanfter Flügel weilt.*

(Chorus)
 
*−* repeat
(バリトン独唱)
歓喜よ、美しき神々の煌めきよ、
エリジウム(楽土)から来た娘よ、
我等は炎のような情熱に酔って
天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る!
*貴方の御力により、時の流れで容赦なく分け隔たれたものは、再び一つとなる。
全ての人々は貴方の柔らかな翼のもとで兄弟になる。*

(合唱)
*−*間の繰り返し

(この節の私的解釈)


<2.主題の変奏その1>

続けて以下の歌詞が、ソプラノ、アルト、テノール、バリトンの独唱者によって歌われ、その後半が合唱により、呼応されるように繰り返されます。

この部分は、原詩の第2連の前半部分で、愛情や友情を勝ち得た者への祝福と、その祝福を共有できない者への蔑みが歌われていると考えられます。

このとき管弦楽は、独唱部は主にチェロと木管楽器(フルート+ファゴット)で、互い違いに流れるように伴奏されますが、合唱部分に入ると、更に多くの楽器群が加わり、より力強く同じような伴奏が演奏されます。

変奏部(その1)の音楽(MP3方式)

(Quartet)
Wem grosse Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein,
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!
*Ja, wer auch nur eine Seele sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wers nie gekonnt, der stehle weinend sich aus diesem Bund. *

(Chorus)
 
*−* repeat
(四重唱)
一人の友人を得るという
大きな賭けに成功した者よ、
一人の優しい妻を努めて得た者よ、
その歓びの声を一つに混ぜよ!
*そう、この地球上でただ1人の(一つの心と呼ばれる)者も!
そして、それが出来なかった者は、この集まりから涙を流してひっそりと去る。*

(合唱)
*−*間の繰り返し


<3.主題の変奏その2>

続けて以下の歌詞が、ソプラノ、アルト、テノール、バリトンの独唱者によって歌われ、その後半が合唱により、呼応されるように繰り返されます。
また、最後の「vor Gott!(神の御前で!)」の部分は、合唱において何度も復唱され、圧倒的な管弦楽の響きと相俟って、荘厳かつ圧倒されそうな雰囲気に達します。

この部分は、原詩の第3連の前半部分で、「死の試練にある一人の友」や「ケルブ(智天使)」など、意味が分かりにくい表記の多い部分であります。
それ故、日本語訳でもかなり直訳とは違う形で意訳されている例もあります。

このとき管弦楽は、独唱部では、主に弦楽器と木管楽器により、断片的な音形が伴奏されますが、合唱部分に入ると、更に多くの楽器群が加わり、より力強く同じような伴奏が演奏されます。
そして前述の通り、最後の「vor Gott!」の部分で、圧倒的な響きとなって一端の半終止を迎えます。

変奏部(その2)の音楽(MP3方式)

(Quartet)
Freude trinken alle Wesen
an den Brüsten der Natur,
alle Guten, alle Bösen folgen ihrer Rosenspur.
*Küsse gab sie uns und Reben,
einen Freund, geprüfut im Tod;
Wollust ward dem Wurm gegeben,
und der Cherub steht vor Gott! *

(Chorus)
 
*−* repeat
(四重唱)
全ての生物は、
自然の乳房より歓喜を飲む。
そして、善きもの、悪しきものも全て薔薇(ばら)色の跡を付けていく。
*歓喜は我等に口づけと葡萄(ぶどう)、
そして死の試練にある一人の友を与えた。
官能的な快楽は虫けらに与えられ、
そしてケルブ(智天使)は神の御前に立つ!*

(合唱)
*−*間の繰り返し

(この節の私的解釈)