ゲゼルシャフト・リート

 マイスタージンガーの音楽のあと、ウィーンの教養ある市民階級の間で広く歌われたのはゲゼルシャフト・リートと呼ばれる歌でした。ゲゼルシャフトとは社会、上流社会、社交的な集い、といった意味を持ちます。

 ゲゼルシャフト・リートの旋律は民謡や宮廷音楽からとられたものでしたが、独唱や重唱など、時に応じて自由なスタイルで歌われました。独奏の場合も器楽の伴奏が付き、複音楽的な要素の強いものでした。初期にはテノールが定旋律を受け持つスタイルが一般的でしたが、イタリアのマドリガルの影響を受け、後には重唱形式が多くなりました。

 ゲゼルシャフト・リートが最も栄えたのは1480年から1550年頃で、多くの作曲家たちの名が今に伝わっています。なかでも、「ウィーンのハンス・ザックス」と呼ばれたヴァルフガング・シュウメルツルは、当時民衆が歌った酒の歌、恋の歌、信仰の歌、流行歌のたぐいを網羅した歌集を残しています。