ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調
−還暦の父に捧げたコンチェルト−


<作曲者>
リヒャルト・シュトラウス
(1864-1949)

リヒャルト・シュトラウスは、ホルン協奏曲2曲のこしている。今回のプログラムで取上げる第1番は、1882年から翌年にかけて作曲されたもので、第2番はそれから60年程後の作品である。
 この曲は、優れたホルンの演奏家でもあった父フランツ・シュトラウスの60歳を記念して着手された。しかし、この頃シュトラウスは、リストやワーグナーの音楽に関心をみせず、古典派やロマン派から引き継ぐ保守的な作風をとっていた。それだけに、この曲から交響詩やオペラの世界で活躍することとなるシュトラウスの特徴を探りだすのは難しいが、オーケストレーションには、後年のシュトラウスを予想させる大胆さや輝かしさがある。
 この曲の独奏ホルンのパートは、ヴァルブのない自然ホルン(ヴァルトホルン)での演奏を意識して書かれているが、実際の楽譜上ではその頃次第に一般的な楽器となってきたF管のホルンをそれにあて、管弦楽のなかのホルンはEs管とした。
曲は3楽章形式で構成されるが規模の小さいもので、楽章間は切れ目なく続けて演奏され、また、その全体の統一と集約性にも配慮がうかがえる。
 ピアノ伴奏での初演は、1883年にフランツ・シュトラウスの弟子のブルーノ・ホイヤーによって行われ、管弦楽伴奏での初演は、1885年3月4日ハンス・フォン・ビューロー指揮マイニンゲン宮廷管弦楽団とその首席ホルン奏者のグスタフ・ラインホスによって行われた。



<各楽章の解説>

第1楽章:アレグロ
輝かしい管弦楽の和音に続いた、ホルンのファンファーレ風の主要主題で始まる。それを管弦楽が受継いだ後、第1副主題がホルンによって歌われる。その後現れる第2副主題も朗々とした旋律である。主要主題を変形した6/8拍子の句aと、経過的に使われる動機bは、続く楽章でも重要な役割を果たす。全体は自由なロンド形式をとる。

第2楽章:アンダンテ
第1楽章から休み無く始まるもので、ホルンののびやかかつ寂しげな主題をもつ。これは、第1楽章の第1副主題から導かれた旋律である。その伴奏その他で、第1楽章の動機bが使われている。そして、長調へ移調した中間部の輝かしい旋律を大きく歌い上げた後、bによる移行の句で第3楽章に入る。

第3楽章:アレグロ
ロンドと明記された楽章である。その最初の主要主題は、第1楽章のaに由来するものである。その他には朗々とした副主題や、bの動機も活用している。全体的に明るく、爽やかな楽章である。