ブラームス交響曲第3番 ヘ長調
−曲の概説−


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<作曲者>
ヨハネス・ブラームス
(1833-1897)



ヘルミーネ・シュピース
(1857-1893)

 

交響曲第3番 作曲の沿革>

 ブラームスの合唱曲「運命の女神の歌」作品89の、1882年の初演に参加したひとりに、アルト歌手のヘルミーネ・シュピース(写真参照)がいました。
天賦の音楽の才能にも、太陽のような快活さにも恵まれた、この輝くような26歳に、50歳の内気な屈折した心が占領されてしまうまでに、大した時間はかからなかったようです。
 それからのブラームスが、どれぐらいシュピースにのめりこんだのかは、親友が彼を冷やかして「あなたは強く健全な衝動にとりつかれている。何かが背後にあるようです。それならなおさら結構……」と、手紙に書いてよこしたことからも窺えます。
翌83年の夏休みにしたって、そこにシュピースの住まいがあるというだけで、わざわざ恒例に反してヴィースバーデンに滞在したし、同地でも何やかやと理由をつけてはシュピースに接近、挙句は自ら紹介者となって彼女をウィーンの楽壇にデビューさせたりまでしたから、周囲が2人の近日中の結婚をささやきはじめる始末でありました……

  ブラームスの第3交響曲ヘ長調、作品90は、このような夏の日々の所産であるのです。
作曲の筆はほとんど滞ることがなく、同年(1883年)の10月には完成をみました。

 流れるようなしなやかな旋律美作曲期間の短さ、などの点において、同様に避暑地の生まれである第2交響曲との近親性を指摘されるこの曲は、2台のピアノの合奏の形で、いったん内輪の試演会にかけられたのち、名匠ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルによって、1883年12月2日に世界初演されました。
翌84年の1月から4月にかけては、ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデン、ブダペストなどの各都市でも披露され、どの街も喝采をもってこれを迎えた、と伝えられています。
またこの新作に関しては、以前から作曲者に好意的な論陣を張っていた評論家ハンスリックが、「繰り返し聴くことによってより深い充足の得られる名作」、と賞讃した一方で、ブラームスを時代遅れのカタブツとして嘲笑していた作曲家ヴォルフは、「ありきたりのだらだらしたきれいごと音楽」と言い捨て一蹴した、とのことです。

 残念ながら、というべきか、シュピースとブラームスの結婚はただの噂で終わりましたが、純粋に優れた音楽家同士の交際とするには数歩踏み込んだ感のある、例の素敵に曖昧な関係の方は、出会いの夏以降も続きました。
後に、このうら若き女性歌手は、壮年の巨匠から、彼の2つの歌曲集、「4つの歌・作品96」と「6つの歌・作品97」をささげられ、さらに親愛の情の証として、その手書き譜を贈られています。

交響曲第3番の形式>

交響曲第3番の形式は、古典的な形式に基づいた4楽章編成となっております。(だから、こういう意味では「ベートーヴェンの第12交響曲」と言ってもいいかもしれませんが・・・?)
また、曲全体の勇壮なイメージ(特に終わりの楽章で、強い音の占める割合が比較的高く、緊張度の高い展開が多い)ことから、ブラームスの英雄交響曲(おそらく、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と引っかけたんでしょう)とも言われておりました。

しかし、ベートーヴェンの交響曲と違って、4つの楽章が全て消え入るように弱い音で終わっていること(ベートーヴェンの場合、終わりの楽章は全て強い音で終わっている)、スケルツォ(テンポの速い3拍子)やメヌエット(ゆったりした3拍子)など舞曲の楽章を含まず(ベートーヴェンの場合、必ずメヌエットかスケルツォの楽章を含んでいた)、間奏曲的な独特の形式の楽章を置くなど、必ずしも「英雄交響曲」とは言い切れない、伝統だけではとらえきれない複雑な面もあります。

また、余談ではありますが、哀愁感に満ちたメロディの第3楽章
(このページ のBGM)は、1960年にアカデミー賞を受賞したイングリット・バーグマン主演のアメリカ映画「さよならをもう一度」の挿入曲としても知られております。
 

<ブラームス交響曲第3番の基本データ>

以下にブラームス交響曲第3番に関する基本的なデータを載せます。
「形式」の中にあるリンクからは、各楽章の解説のページへ行くことができます。

初   演 1883年12月2日
演奏時間 合計で約40分
 
(第1楽章:約12分,第2楽章:約11分,
    第3楽章:約7分,第4楽章:約10分)
形  式 4楽章からなる交響曲
第1楽章:快活に早く、生き生きと(ヘ長調、ソナタ形式)
第2楽章:歩くような早さで(ハ長調、ソナタ形式)
第3楽章:少しばかり早めに(ハ短調、三部形式)
第4楽章:快活に早く(ヘ短調−ヘ長調、ソナタ形式)
オーケストラの
楽器編成
(管楽器名の横の数字は各楽器の必要数です)

木管楽器群:
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット1
金管楽器群:トランペット2、ホルン4、トロンボーン3
弦楽器群:ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
打楽器群:ティンパニ


BGM:
ブラームス 交響曲第3番 第3楽章
           (MIDIデータ作成者 大竹勝利 様 (JCF02005@nifty.ne.jp) のご好意により転載)

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