(C) 関西シティフィルハーモニー交響楽団
(アマチュアオーケストラ,大阪市)

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」

−その5:サントゥッツァのロマンツァについて−


<ロマンツァの概要>

−美しくも激しいサントゥッツァの苦しみと嫉妬の歌−

サントゥッツァのロマンツァ「ママも知るとおり」は、オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」で歌われるアリア(独唱による歌)の中では最も有名なもので、(前項でも触れましたが)自分の婚約者の不倫を知ったサントゥッツァが、婚約者の母ルチーアにその苦しい胸の内を告白するという、ショッキングな内容です。

題名となっている「ロマンツァ」
(英語では「ロマンス」)とは、もともとは中世のスペインを発祥の地とするロマンス語(中世ヨーロッパの一般民衆が使ったラテン語)の文学や歌曲の1ジャンルで、そこでは「国民的英雄譚」や「愛の大冒険活劇」など、(文字通りロマンをかき立てられるような)仰々しい内容が物語や歌詞の題材とされていました。
しかし、このような仰々しい意味は19世紀頃には薄れてしまい、歌曲としては「恋愛に絡んだ歌」とか「叙情的な歌」などロマンチックな内容の歌詞であれば「ロマンツァ」と称するようになっていました。
(そう考えると、恋愛が絡むことが多い日本の歌謡曲のほとんどは「ロマンツァ」になってしまいますね・・・)

ということで、この「サントゥッツァのロマンツァ」とは、「サントゥッツァが恋愛に絡んだ歌詞を歌うアリア」という意味になります。

 

<ロマンツァの歌詞>

−トゥリッドゥへの愛とローラへの嫉妬が相対する歌詞−

歌詞は下表の通り、前半部分トゥリッドゥの恋愛に関するいきさつと、サントゥッツァ本人の彼への愛情について歌っており、後半部分が夫がいるにも関わらず自分の婚約者を誘惑したローラへの嫉妬と恨み言になっています
さらにルチーアが口を挟んだ後は、愛するトゥリッドゥへの未練を口にするなど、愛に苦しむ女性の心中が露わになるという、何とも心苦しい内容となっています
しかし、ヨーロッパではこれでも「ロマンス(ロマンツァ)」なのです。
(オペラのストーリーをご存じでない方は、ぜひこちらのページ(ストーリーの概要)をご覧ください。)

ちなみに、ロマンツァの前半部分と後半部分の間の「つなぎ」として、チェロが物憂げに流れるような旋律を演奏しますが、これは「嫉妬のテーマ」とも言うべき重要な旋律で、この後、嫉妬に狂ったサントゥッツァがアルフィオに同じ事を告白する際にも同様に演奏されます
 
原語の歌詞 日本語対訳

(Santuzza)
Voi lo sapete, o mamma, 
Prima d'andar soldato,
Turiddu aveva a Lola
Eterna fé giurato.
Tornò, la seppe sposa;
E con un nuovo amore
Volle spegner la fiamma
Che gli bruciava il core:
M'amò, l'amai... l'amai,
Ah!  l'amai.



Quell'invida d'ogni delizia mia.
Del suo sposo dimentica,
Arse di gelosia ...
Arse di gelosia ...
Me l'ha rapito!
Me l'ha rapito ...
Priva dell'onor mio,
dell'onor  rimango:
Lola e Turiddu s'amano.
lo... pian...go,
io piango,
io pian...go!

(Lucia)
Miseri noi,
Che cosa vieni a dirmi
In questo santo giorno?


(Santuzza)
lo son dannata...
lo son dannata...
Andate, o mamma,
Ad implorare Iddio,
E pregate per me.
Verrà Turiddu,
Vo' supplicarlo
Un'altra volta ancora,
Vo' supplicarlo
Un'altra volta ancora!

(Lucia)
Aiutatela voi,
Santa Maria!

(サントゥッツァ)
知ってるよね、ママも・・・
トゥリッドゥが兵隊に行く前、
ローラに誓わせた、
永遠の貞節のことを。
(←オペラ題名の由来
でも帰ってたら、誓いは破られてた・・・
そこで新しい愛をもって
炎を消そうとしたのよ
彼の心に燃えたぎった熱い思いを・・・
私も愛したし、彼も愛し・・・彼も愛した、
あぁ! そうよ、彼も私を愛したのよ!

<チェロによる物憂げな「嫉妬のテーマ」の演奏>

ローラは私の幸せにいちいち嫉妬した。
自分に新婚の夫がいることも忘れて、
嫉妬に身を焦がして・・・
そのあげくに・・・
あいつはあの人を奪ったよ!
私はあの人を奪われて・・・
自分のプライドまで奪われ、
もう面目つぶされっぱなしよ!
ローラとトゥリッドゥは愛し合っていて、
私は・・・泣いて・・・
泣いて・・・
泣きまくってるのよ!

(ルチーア)
あたしら何て惨めなんだい、
そんなことをぶっちゃけるなんて・・・
こんな聖なる喜びの日にだよ?


(サントゥッツァ)
私は地獄行きよ!
・・・そう、もう落ちちゃったのよ・・・
落ちぶれちゃったけど、ねえママ、
神様に是非お願いして、
そして私のために祈って。
トゥリッドゥが来たら、
お願いしてみようと思うの・・・
とにかくもう一度・・・
そう、もう一度お願いするの、
何が何でも!


(ルチーア)

あの子をお救いくださいまし・・・
聖母マリア様!


文・構成:
岩田 倫和(チェロ)

参考資料: オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」ヴォーカルスコア
(ソンツォーニョ社 刊)
伊和中辞典(小学館 刊)


2005.10.13作成

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