(C) 関西シティフィルハーモニー交響楽団
(アマチュアオーケストラ,大阪市)

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」

−その4:復活祭の合唱について−

 

<復活祭の合唱の概要>

−村人の祈りと救いを求めるサントゥッツァの思いが交錯する大合唱−

この復活祭の合唱は、オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の中で音響的には最大の盛り上がりを見せるところで、伴奏するオーケストラと合唱にとっては最大級の音量で演奏できる(演奏者にとっての)クライマックスです
(歌詞の詳細はこちらの項目にあります。)
 

−復活祭の合唱の構成−

この合唱は、以下のように大きく3つのパートに分かれます

1.聖堂内の祈りの合唱(舞台裏の合唱)

このパートは、復活祭の合唱の最初から最後まで、聖堂の中(舞台裏)でカトリック教会の正式な典礼に基づく復活祭の歌(「レジナ・チェリ」や「アレルヤ(ハレルヤ)」などのカトリック教会の讃歌)を歌います。
歌う内容がカトリック教会の典礼に基づいているため、歌詞の大部分はオペラ原語のイタリア語ではなく、典礼言語のラテン語となっています

2.広場の村人たちの合唱(舞台上の合唱)

聖堂内の「レジナ・チェリ」の合唱に続いて、外の広場にいる村人が主イエス・キリストの復活を祝う歌を広場(舞台上)で歌います
上記の聖堂内の合唱と違い、歌う内容がカトリック教会の典礼に基づいていないため、歌詞は原語のイタリア語となります
この広場(舞台上)の合唱は、後半部分で最大音量となり、オペラの音響上のクライマックスを形成します

3.サントゥッツァとルチーア(独唱者)

2人の独唱者のうち、サントゥッツァは上記の広場の村人たちと同じ歌詞を一人で歌い始め、この復活祭の合唱を彩るのに大きな役割を果たしています
しかも、その途中でoh Signor …(ああ、主よ・・・)と主イエス・キリストに救いを求める歌詞もしっかりと挿入されています
その一方でルチーアは独唱者として目立つことはなく、その歌詞や音程も合唱のアルトパートとほぼ同じです。
 

−復活祭の合唱の進行−

そして、上記の3つのパートが複雑に絡み合い、以下のように合唱が進行します。

1.聖堂内の「レジナ・チェリ」(舞台裏の合唱のみ)

オルガンによる厳かな前奏が終わると、最初の合唱として、聖堂内(舞台裏)の村人たちにより、ラテン語「レジナ・チェリ」(天の元后)の歌が厳かかつ静かに歌われます
「レジナ・チェリ」とは、カトリック教会の復活祭以後の日常典礼に用いられる重要な讃歌の一つで、「アヴェ・マリア」に並んで有名な聖母マリアに関する讃歌の一つです。
「レジナ・チェリ」は、その歌詞を用いたモーツァルトの一連の同名歌曲が有名ですが、最近一般でもよく聞かれるようになったグレゴリオ聖歌にも同名の曲があります。
オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」では、これら偉大な先達たちの名曲とは異なり、かの有名な「交響的間奏曲」とほぼ同じ旋律となっていますが、歌そのものはグレゴリオ聖歌と同様に無伴奏で1つの旋律という非常にシンプルな形で歌われます
また、オペラ中の歌詞は「レジナ・チェリ」の前半部分3節のみでかなり短くなっています。
「レジナ・チェリ」の歌詞全体は当団とは関係のないこのページで見られます。また、グレゴリオ聖歌の「レジナ・チェリ」の詠唱は、当団と関係のないこのページで聴くことができます。)

2.広場の村人たちの合唱(舞台上の合唱のみ)

「レジナ・チェリ」が終わると同時に、広場の村人たちによる舞台上の合唱が、厳かな雰囲気を受け継いで静かに始まります
この歌も「レジナ・チェリ」同様に復活祭を祝い、主イエス・キリストを讃える内容となっていますが、歌詞そのものは台本作家の創作であるため、オペラの台詞と同じイタリア語となっています

3.独唱に続く合唱(舞台上と舞台裏の合唱にサントゥッツァとルチーアも加わる)

広場の村人たちによる厳かな合唱が一通り終わると、次にサントゥッツァが独唱(一人)で上記2の合唱と同じ歌詞を歌い始めます
そこへ舞台上のルチーアと広場の村人たちの合唱、そして舞台裏の聖堂内の合唱が「合いの手」として加わり、それが徐々に音量が大きくなると同時にお互い複雑に絡み合い、オペラの音響的なクライマックスを形成します
その後、管弦楽がその雰囲気を受け継ぐ形でもう一つのクライマックスを形成しますが、最後はそれを静めるかのような厳かなオルガンの演奏で締めくくられます。

 

<復活祭の合唱の歌詞>

−典礼「レジナ・チェリ」と創作の歌詞が絡み合う讃歌−

歌詞は下表左半分の通り、「レジナ・チェリ」の部分がラテン語である以外は、全てイタリア語となっています
歌詞の内容は前述の通り、キリスト教の主イエス・キリストの死後3日目の復活とその40日後の昇天を祝うものです。

ちなみに聖堂内の村人が何度も繰り返し歌う”Alleluia!”(ハレルヤ)は、「感激をもって主を讃美せよ!」という意味のラテン語とイタリア語共通の言葉で、カトリック教会博士(最高位の聖人)の一人、聖ヒエロニムス(340頃-420)により、教会典礼用語として正式に採用されました。
語源については、旧約聖書の記述言語であるヘブライ語の「ハレル」(ほめる)と「ヤハ」(唯一神ヤハウエ)が組み合わさったものといわれています。

(歌詞の重複に関する注意)
基本的に歌の進行に合わせて歌詞を掲載しているため、一般的な歌詞対訳と違って、後半部分に同じ歌詞の重複記載が多くあります。
悪しからずご了承ください。
 
原語の歌詞 日本語対訳



Regina Coeli, laetare
Alleluia!
Quia quem meruisti portare...
Alleluia!
Resurrexit, sicut dixit
Alleluia!



(Popolo sulla piazza)
Inneggiamo,
il Signor non e morto!
Ei fulgente
ha dischiuso l'avel
Inneggiamo
al Signor resorto,
oggi asceso
alla gloria del Ciel!

(Santuzza)
Inneggiamo,
il Signor non e morto!
Ei fulgente
ha dischiuso l'avel
Inneggiamo
al Signor resorto,
oggi asceso
alla gloria del Ciel...

(Popolo sulla piazza)

alla gloria del Ciel!

(Popolo dalla chiesa)
Alleluia!


(Popolo, Santuzza, Lucia)
Inneggiamo,
il Signor non e morto!
Ei fulgente
ha dischiuso l'avel
Inneggiamo
al Signor resorto,
oggi asceso
alla gloria del Ciel!


(Santuzza)
Oh Signor, o Signor...

(Popolo dalla chiesa)
Alleluia...


(Popolo sulla piazza)

Inneggiamo al Signor...


<Fine>

(Tutti sulla palco)

Al Signor, Signor!

(Popolo dalla chiesa)

Alleluia!

舞台裏の合唱
(聖堂内の村人)

天の元后よ、お喜びください。
ハレルヤ!
その御身に宿られた方が・・・
ハレルヤ!
仰せの通りに甦られたからです。
ハレルヤ!
<訳者注:以上が「レジナ・チェリ」由来の歌詞>

舞台上の合唱
(広場の村人)
讃えましょう、
主は亡くなられていない!
御自ら燦然
(さんぜん)と輝きながら、
(自分の墓の)石の扉をお開きになった。
讃えましょう
甦られた主を、
主は今日昇られたのです
天の御栄えのもとへ!

(サントゥッツァの独唱)
讃えましょう、
主は亡くなられていない!
御自ら燦然と輝きながら、
石の扉をお開きになった。
讃えましょう
甦られた主を、
主は今日昇られたのです
天の御栄えのもとへ・・・

(広場の村人)

天の御栄えのもとへ!

(聖堂内の村人)

ハレルヤ!

(印の間は歌詞の断片が複雑に入り交じる)
(広場の村人、サントゥッツァ、ルチーア)
讃えましょう、
主は亡くなられていない!
御自ら燦然と輝きながら、
石の扉をお開きになった。
讃えましょう
甦られた主を、
主は今日昇られたのです
天の御栄えのもとへ!


(サントゥッツァの独唱)
ああ、主よ・・・

(聖堂内の村人)
ハレルヤ・・・
(上の舞台上の合唱中に同じ言葉を繰り返す)

(広場の村人)
主を讃えよ・・・
(同じ言葉を繰り返す)

<最後の斉唱>
(広場の村人、サントゥッツァ、ルチーア)

主よ・・・主よ!

(聖堂内の村人)

ハレルヤ!


文・構成:
岩田 倫和(チェロ)

2005.10.10作成

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