(C) 関西シティフィルハーモニー交響楽団
(アマチュアオーケストラ,大阪市)

ペレアスとメリザンド
− 第3幕 −



関西シティフィルハーモニー交響楽団
第35回定期演奏会の演奏より
「第35回定期演奏会ギャラリー」のページと同じものです。)

<第3幕第1場の前奏曲−「糸を紡ぐ女」>

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<第1場:メリザンドの居室>
−オペラ:省略−(注1)

第3幕第1場:糸を紡ぐメリザンドと座っているペレアス

ある日の夜、暗がりにも関わらずメリザンドが糸を紡いでいた。
その傍らにはペレアスが座りながらメリザンドと語っていた。

イニョルドは廊下の方で物音がしたと言って見に行ったまま戻らない、ゴローは落馬の怪我が癒えた途端にまた狩りに出てしまい、まだ帰ってないとのことを二人で語っていた。

そうしているうちに様子見に行っていたイニョルドが部屋に戻ってきた。

ペレアスがイニョルドに寝るよう勧めたが、イニョルドは「二人が寝るまでずっと起きている」を言い出して、突然泣き出した。

あわてて訳を聞くペレアス、イニョルドは「父さんは行ってしまった・・・母さんも行ってしまうのでしょう・・・」(注2)と不可思議なことを言った。
「そんなわけないでしょう」と否定するメリザンド、でもイニョルドは「あの人に会ってきた・・・(注3) 母さんも叔父さん
(ペレアス)にいろいろ話したんでしょう・・・」と言って彼女の言葉を信じる様子もない。

ペレアスは「夢を見ていたのだろう」と言って、外で猟犬たちが白鳥たちを追い回す様子をイニョルドに見せる。イニョルドも水と白鳥たちが羽根をばたつかせておびえている様子(注4)を目にした。
「聖ダニエル様、聖ミッシェル様・・・聖ミッシェル様、聖ラファエル様・・・」と糸を紡ぎながら歌い出すメリザンド。

そこへ変なものが見えたと言うイニョルド、何も見えなかったペレアスであったが、そのうち狩りから戻ってきたゴローの姿を確認して、イニョルドが迎えに行った。

イニョルドはゴローと一緒に部屋に戻ってくると、手にしていたランプの灯をペレアスとメリザンドの顔の前にかざし、「明るいでしょう・・・叔父さんと母さんは泣いていたんだね」(注5)と言った。


<第2場:城の塔(と下の警邏道)
−オペラ:第1場−

開かれた窓から見える星空の美しい晩に、塔の中の部屋で髪を櫛で解いているメリザンド。

『黄金のランプを手にして塔を上っていく3人の盲目の姉妹・・・他の人と共に諦めずに塔を上っていく・・・「ランプの明かりが聞こえる」と一人、「王様が上がっている」ともう一人・・・「いいえ」・・・最も清い一人は言った・・・「私たちのランプはもう消えてしまった」と・・・』

・・・と不思議な内容の歌を歌っていた。(注6)

第3幕第2場:盲目の3人の王女

そこへ「おーい・・・おーい・・・!」とかけ声をかけながらペレアスが塔の外周にある警邏用の通路を歩いてきた。
メリザンドが「誰?」と聞くと、「僕だよ」と言って、ペレアスは窓の外から中にいるメリザンドに親しげに声をかける。(注7)

「もっと身を乗り出して・・・ほどいた髪を見せて・・・君はきれいだ・・・もっと近くで見たい」と、ペレアスはメリザンドを愛おしむようなことを言い出した。
精一杯身を乗り出そうとするメリザンドだが、塔の窓は通路からかなりの高さがあり、全く届かない。

メリザンドは「もうだめ・・・これ以上は無理・・・」と言ったが、ペレアスは更に「手を差しのばして・・・ぼくは明日旅立つんだ。(注8)だから別れの前に手だけでも・・・」とわがままを言った。
それを聞いたメリザンドは「旅立つのなら手は差し出さない」と言って、ペレアスに旅立ちを思い止まらせようとした。
その時一瞬メリザンドの目に庭に咲く一輪の深紅の薔薇(注9)が見えたが、ペレアスの眼中にはなかった。

そして、メリザンドの魅力に負けたのか、ペレアスは「欲しい・・・とにかく手を差し伸べて・・・」と懇願した。
それを聞いて手を差し伸べるメリザンド。

しかし、どんなにお互いが手を差しのばしても届かない。

第3幕第2場:塔から髪を垂らすメリザンドとそれを弄ぶペレアス

そうこうしているうちに、身を精一杯乗り出していたメリザンドの長い金髪が塔の窓から垂れ落ち、ペレアスの目の前に被さってきた。(注10)

ペレアスは突如舞い降りてきたメリザンドの美しい髪に感動し、それをあたかもメリザンドの体かのように愛撫し、弄び始めた。
「ああ・・・僕の口づけがこの髪を伝って君に伝わっていく・・・」と、メリザンドが「放して」というのも聞かず、歓喜の声を上げながら髪に口づけをして愛撫するペレアス。

その様子に驚いたのか、メリザンドの飼っている鳩が飛び出してしまった。「(鳩たちは)もう帰ってこないわ・・・闇の中で迷ってしまう」と言うメリザンド。(注11)

そこへゴローが通路を歩いて二人の方へ来ているのが見えた。
あわてて髪をもとに戻そうとするメリザンドであったが、髪の一部が通路の柳の木に引っかかって取れなくなってしまった。(注12)
そうこうしているうちにゴローが二人の前にやってきた。

弁明しようとして言葉に詰まるペレアスを尻目に、ゴローは「こんな夜更けに何をやってるのだ・・・もう午前零時だぞ・・・まったく子供みたいなヤツらだな・・・」と失笑しながら、ペレアスを引き連れて戻った。(注13)


<第3場:城の地下洞穴>
−オペラ:第2場−

第3幕第3場:地下洞穴を行くペレアスとゴロー

ある日、ゴローはペレアスを城の地下にある底の深い洞穴(注14)に案内した。
ペレアスはかつて昔に1回だけ入ったことがあるという。

ゴローがペレアスをこのようなところへ案内したのは、この洞穴から漂う「臭い」に注意を差し向けて欲しいためだった。
この洞穴の奥底にある水溜まりが墓場にも似た死臭を放っており、その死臭は城内の悪臭の原因となっている。しかし、アルケル王は悪臭の原因をこの水溜まりと思いたくないようである。
また、ゴローはペレアスに、この地下洞穴には「不思議な力」があり、放っておくと、いつの日にかこの城全体がこの洞穴に飲み込まれかねない(注14)、それなのに誰もここへ踏み入れようとしない・・・壁や柱などそこら中に走っている亀裂を指しつつ、意味ありげに言った。

ペレアスは兄の促すまま、自分の後を行く兄の持つカンテラの光を頼りに歩くが、カンテラの光が揺れたために、足場が分からず途中で落ちそうになったり、ゴローに促されて底を覗き込んだ時にも異常なほどに揺れたカンテラの光に言いしれぬ不安を感じた。(注15)

そんな不安を感じつつ死臭の元となっている水溜まりの臭いをもろに嗅いでしまったせいか、ペレアスは気分が悪くなり、ゴローに一刻も早く出るよう促した。ゴローもその言葉に従い一緒に洞穴を出た。


<第場:地下洞穴前のテラス>
−オペラ:第3場−

第3幕第4場:王城のテラスに出たペレアスとゴロー

死臭漂う地下洞穴を出ると、そこは海からの潮風が心地よい光溢れる屋外のテラスだった。テラスには花も植えられており、誰かが水を撒いた跡があった。
ペレアスは、地下洞穴とはまるで違う心地よい空気をいっぱい気持ちよく吸い込みつつ、1時間半ほどあの洞窟に居たんじゃないかとゴローに言ったが、ゴローは「そうだったか?」と言った様子で、あまり気にしていなかったようだった。(注16)

また、正午近くで暖かく気持ちがよいためか、城の窓はほとんど開放されて、ペレアスはその一つの塔の窓にジュヌヴィエーヴやメリザンドの姿を見た。

ゴローは開放感に浸るペレアスを尻目に、昨晩の塔でのペレアスとメリザンドとの出来事のことを話し始めた。(注16)彼はその出来事の一部始終を見ていたのだ。
ゴローは、あの晩のことについては、まったく子供じみた行動で、単なる悪ふざけなのだろうが、ようやく女になりつつあり、母親にもなろうとしている神経質なメリザンド(注17)をあまり刺激するのはよくないとペレアスに注意した。
また、ゴローは、ペレアスとメリザンドのこうした仲を感じたのは、昨日が始めてではなかった(注18)とも言い、今後はメリザンドにあまり会わないよう、ただし本人に気付かれないようさりげなく注意して欲しいと改めて釘を刺した。

と、そう言った矢先、二人は町中へ向かって鳴きながら歩いている羊の群れを目にした。
ゴローは羊たちが鳴きながら町中へ行く様子を見て、「迷子のように泣いておる・・・屠殺人の刃の臭いを嗅ぎ当てているようだ」(注19)と言った。


<第5場:城の前の庭>
−オペラ:第4場−

第3幕第5場:王城の塔の下に腰掛けているゴローとイニョルド

ある日の夕方のこと、メリザンドの寝室の窓の真下にあるベンチにゴローと息子のイニョルドがいた。

ゴローはイニョルドを自分の膝の上に座らせると、「近頃わしの所には来ず、母親の所ばかりに入り浸っているな」と言って、それならペレアスと一緒にいるところをよく見るだろうと、ペレアスとメリザンドの関係を何となく聞き出そうとしていた。(注20)

ゴローは城内に広まっている様々な噂話・・・相思相愛じゃないか、いつも口喧嘩してばかりいる、などの話題を持ち出し、その真偽をイニョルドに聞いて確かめようとした。

イニョルドは扉の開け閉めや光に関する口喧嘩のことについては、喋ったがそれ以上のことについては口をつぐんでしまった。
ゴローはなかなか本題を語ろうとしないイニョルドの態度にいらだちながらも更に聞き出そうとしたが、そのいらだちからイニョルドの腕を強く掴みすぎて、「抓られて痛い・・・」と泣かれてしまった。

これではいかんとゴローは箙と矢をあげるからと言って、物で釣るような形でペレアスとメリザンドがしている会話の内容を具体的に聞き出そうとした。
しかし、無邪気なイニョルドは「僕の身長のことを話している」とか、「いつかは父親の身長を超えるだろう」との内容のことしか言わず、ゴローの知りたいことからすると、まったくの的はずれだった。
その様な内容しか聞けないゴローは、「わしは何をやっているんだ・・・」と、自分のやっていることに対して耐え難い不甲斐なさを感じてしまった。

そんなゴローの複雑な態度をよそに、イニョルドは二人のことについて、二人でいる時は常に自分を放そうとせず、側に居させることや、よく二人で笑ってはいるけど、メリザンドが何かにおびえていること、部屋で明かりも付けず、暗がりで二人してよく泣いている(注21)ことを話した。

ようやく本題に近づいてきた・・・!と、ゴローは話の先を聞き出そうと、誘導尋問のように「二人は仲がいいんだね・・・わしは分かってうれしいよ・・・二人でキスしないか?」と、何気なく聞いた。
するとイニョルドは少し考えて、「一度だけした」と言った。更にゴローが「どんな風に?」と聞くと、「こんな風に・・・」と言って、ゴローの口にキスをすると、「お父さん、お髭がチクチクする・・・お髭も頭も真っ白だ!(注22)」とゴローの髭と髪のことを指摘した。

そうしていると、真上の窓に灯がともった。
何かを感じたのか、ゴローは「母さんに会わせてやろう」と言って、イニョルドを肩車で窓の向こうが見えるぐらいに高く掲げ上げ、部屋にいるはずのメリザンドの姿を覗かせた。(注23)その時、彼女に気付かれないよう、イニョルドに物音を立てないよう注意を促した。

さて、ゴローがイニョルドに部屋の中の様子を聞くと、その中にはメリザンドがペレアスと一緒にいるとのこと。
「畜生め・・・!」と言って悔しがるゴロー、その思いを何とか押し殺し、更にイニョルドに中の様子を詳しく聞き出した。
「ベッドにいるのか?」と聞いてみる(注24)と、イニョルドは、ベッドは見えない、ただ二人で離れて壁に寄り添い、身じろぎもせず、一言も言わず立ったまま明かりを見つめているだけ(注25)だと答えた。

その様子にイニョルドは怖さを感じ、ゴローに早く降ろすようせがんだ。(注26)
ゴローは更に見るよう命じたが、イニョルドが「大声を出すよ」とまで言い張ったので、仕方なく彼を下に降ろし、何がどうなったかを見に行くことにした。(注27)

 

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