|
(ローレライの伝説)
皆さんは唱歌「ローレライ」をご存じでしょうか?
(小学校や中学校の時に歌われたことがあるかもしれませんね。)
そう、ハイネの有名な詩をジルヘルが作曲し、近藤朔風氏が邦訳した、「なじかは知らねど心わびて……」で始まる歌です。
これに歌われているのが、岩礁の多いライン川の難所を行く船人を美しい歌で惑わし、進路を狂わせて難破させ、川底に沈めていく長い金髪を持つ美少女(水の精)の伝説が、有名なローレライ(妖精の岩)の伝説です。
この伝説の下敷きとなったのは、古代ギリシャ神話の魔女「セイレーン」(その名は「サイレン」の語源となっている)で、海(セイレーン)か川(ローレライ)かの違いだけで、歌を歌って、船の男たちを惑わせては座礁させて沈めていた点は共通しています。長い金髪の美少女という点も共通しています。

ライン川のローレライ(奥の突き出た岩場)と猫城(手前の城)
(クラヤ三星堂薬報 No.3(2000.4.21)より引用)
(戯曲「ペレアスとメリザンド」の下敷きはローレライの伝説?)
−ストーリー上の共通点−
ここで、本題の戯曲「ペレアスとメリザンド」なのですが、この話も、長い金髪の美少女メリザンドが男たち(ゴロー、ペレアス)を惑わせ、仲が良かったはずの兄弟が仲違いをして破滅していく(嫉妬に狂った兄が弟を殺し、兄も苦悩に悶える)点や、殺された弟の死に場所が泉(水)の中になるという点では、ローレライの伝説とよく似ています。
そして、ストーリーと登場人物だけでなく、舞台設定にも似たところがあります。
−舞台設定上の共通点−
舞台の最大の共通点は、キーワードとなっている「水」です。
第1幕でメリザンドが登場するところは、森の中の「泉」、ペレアスとメリザンドの逢い引きの場となり、最終的にペレアスの死に場所となるころは、城中にある盲目の「泉」です。
つまり、戯曲の「泉」とローレライの伝説の「川」という、「水」に関わる場所が舞台となっている点で、この二つは共通しています。
また、これをもっと広範囲に広げて考えますと、戯曲の舞台となっている架空の国「アルモンド」の王城近くの風景も、ローレライの伝説の舞台となったライン川河畔の風景によく似た点があります。
−アルモンド王城のモチーフはローレライの「猫城」?−
架空の国「アルモンド」の王城周りには、深い森と下ったところに海があるという設定です。
一方で、上記の写真には、ローレライの伝説の舞台となった実際のライン川河畔と、挟んでそびえ立つ「猫城」が写っています。
これを見ますと、「猫城」の周りには木々が立ちこめ、また下ったところにはライン川があります。
おまけに戯曲第3幕の有名な「髪の場」の舞台になってもおかしくないような見張りの塔まであります。
(ただこれはヨーロッパの古城に共通した構造なんですが・・・)
とにかく、川(ローレライの伝説)と海(戯曲「ペレアスとメリザンド」)という違いはあれど、舞台として、この二つはとても似た面を持っています。
−真実(まこと)は知らねど・・・−
原作者のメーテルランクが、果たしてこのローレライの伝説とその土地を参考として、この戯曲を書いたのはどうかは分かりませんが、これらの共通点を見ますと、参考にしなかったにせよ、何らかの影響は多分に受けているような気がしてなりませんね。
|